【書評】ガイ・スピア著「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」

株式投資の本
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ガイ・スピア著「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」という投資本を読みました。

本書は、悪徳証券会社に入社した勘違いエリートのガイ・スピアが、バフェットのランチ権を65万ドルで買ったことをきっかけに、真のバリュー投資家に目覚めていく過程を描いた物語です。

スピアと共同で、バフェットのランチ権を落札した投資家モニッシュ・パブライの著書「ダンドー」の書評も書いています。

関連記事:【書評】モニッシュ・パブライ著「ダンドー」

スピアが勘違いエリートから真のバリュー投資家へと変貌を遂げていく姿は、投資初心者が億り人の凄腕投資家へと変貌していく過程によく似ている感じです。

その点を考えて読み進めていくと、よりワクワクした気持ちで本書を読んでいくことができます。

ガイ・スピアが真のバリュー投資家として見出した8つの投資ツール

スピアは真のバリュー投資家へと変貌してく過程で、8つの投資ツールを見出してきました。

  • 株価を頻繁に見ない
  • 人に勧められたものは買わない
  • 経営陣とは話をしない
  • 投資の調査は正しい順番で行う
  • 自分の投資アイデアの相談は下心がない人だけにする
  • マーケットの取引時間中に株を売買しない
  • 株を買ったあとに下落したら、二年間は売らない
  • 現在の投資について語らない

この8つの投資ツールの中でも、「株価を頻繁に見ない」「株を買ったあとに下落したら、二年間は売らない」は、スピアがバフェットの影響を大きく受けていることがよくわかる投資ツールです。

特に印象に残った投資ツール・「現在の投資について語らない」

スピアが見出した投資ツールの中でも、個人的に「現在の投資について語らない」は特に印象に残りました。

「現在の投資について語らない」と聞くと、多くの人はアイデアをパクられるのを防ぐためだと思いがちです。

スピアがなぜ「現在の投資について語らない」のかといえば、語ってしまった現在の投資と自分を切り離すのが難しくなるためです。

一度語ってしまえば、語った銘柄が売りだと思っても心理的に売りづらくなります。

売りづらくなった結果、莫大な利益が半分にまで下がったり、最悪損失という結果を導いてしまうためです。

億り人の凄腕投資家さんほどツイッター上で具体的な銘柄うんぬんについて語らないのは、この「現在の投資について語らない」という投資ツールがいかに有効であるかがよくわかる教訓です。

そういった凄腕投資家さんほど、ツイッター上では艦これ・飯テロ・二次元美少女画像等々投資とは全く関係ない話題で盛り上がっています。

投資のチェックリストを絡めるとより効果的です

「現在の投資について語らない」という投資ツールとあわせて、スピアが提唱する投資家のチェックリストを絡めるとより効果的です。

投資家のチェックリストに関しては、各個人投資家の性格・環境等で当然変わってきます。

そのためチェックリスト作成の参考となるように、スピアが犯した間違いのケーススタディーが4つ掲載されています。

スピアが犯した4つの間違いのケーススタディー

  • 冷静さを失った男
  • タッパーウェアの複雑な物語
  • 背景に何があるのか
  • 私がバランスを失った投資

を参考に投資のチェックリストを作成してくと、自分の投資精度が上がりより良い投資ができるようになります。

ひとつの物語としても面白く、投資本の良書としても楽しめる一冊

本書はひとりの勘違い野郎のサクセスストーリーとして読むこともできますし、ファンダメンタル投資の良書として読むこともできます。

自分の投資に勘違いがあるのではないかと思っている方には、その勘違いを解消するための道しるべのひとつになってくれる一冊です。

バフェットのランチ権を買うような人間は、いったいどのような人物なのかをのぞき見できるところも見逃せません。

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