【書評】モニッシュ・パブライ著「ダンドー」

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モニッシュ・パブライ著「ダンドー」を読みました。

パブライは、「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」の著者ガイ・スピアとともに、ウォーレン・バフェットとのランチ権を65万ドルで落札した投資家です。

本書では、パブライが読書や友人との対話・直接的かつ本源的な体験を通じて得た、ビジネス・投資のアイデアの数々が書かれています。

ガイ・スピアが書いた著書「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」の書評も書いています。

関連記事:【書評】ガイ・スピア著「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」

ダンドーとは富を創造する努力と挑戦

ダンドーといっても、某少年サンデーで連載されていたゴルフマンガのことではありません(違。

本書のタイトルでもあり、パブライが幾度となく繰り返す言葉「ダンドー」。

ダンドーとは、インド・グジャラート語で「富を創造する努力と挑戦」という意味があります。

ダンドーという言葉をさらに掘り下げていくと、「リスクを最小にしながら、リターンを最大化する」ところにまでいきつくのです。

ダンドーが意味する、リスクを最小にしながら利胆を最大化する事例として、

  • アメリカのモーテルを支配するパテルと呼ばれるインド人グループ
  • ヴァージングループの総帥リチャード・ブランソン
  • 鉄鋼メーカーのアルセロール・ミッタル

の3つが挙げられています。

事例が若干古いのは、本書が2009年に発売されたためです。事例が若干古いとはいえ、パテル・ブランソン・ミッタルの事例を本書で見ると、ダンドーの理解がより深まります。


アルセロール・ミッタルの2008年からの株価推移を見ていると、ちょっと微妙な気分になります。

同時に鉄鋼のようなシクリカル銘柄は、きれいな右肩上がりにはならないものだと思い知らされるものです。

リスクを最小・リターンを最大にするダンドーフレームワーク

ダンドーとは、「リスクを最小にして、リターンを最大化する」ことです。

果たしてそんなにおいしい話あるのかと思いそうですが、パブライはこのことを「コインの表なら勝ち、裏でも負けは小さい!」と表現しています。

このおいしい話?を実現するために必要になる原理が、9つからなるダンドーフレームワークです。

ダンドーフレームワークは

  • 既存のビジネスの購入に絞る
  • 変化が大変緩やかな業界のシンプルなビジネスを購入する
  • 行き詰まった業界の、行き詰まったビジネスを購入する
  • 競争上の優位性を保てるビジネスを購入する
  • オッズがあなたにとって圧倒的に有利なときには大きく賭ける
  • 裁定取引に注目する
  • 潜在的な本質的価値よりも大幅に割り引かれた価格でビジネスを購入する
  • 低リスクで不確実性の高いビジネスを探すべきである
  • 革新者になるよりも成功者に倣ったほうが良い

以上9つのフレームワークで構成されています。

パブライと共同でバフェットのランチ権を落札した、ガイ・スピアの投資ツールも8つで構成されているのでこれぐらいがちょうどいいのでしょうか。

参考:ガイ・スピアの8つの投資ツール

  • 株価を頻繁に見ない
  • 人に勧められたものは買わない
  • 経営陣とは話をしない
  • 投資の調査は正しい順番で行う
  • 自分の投資アイデアの相談は下心がない人だけにする
  • マーケットの取引時間中に株を売買しない
  • 株を買ったあとに下落したら、二年間は売らない
  • 現在の投資について語らない

この8つの投資ツールのなかでも、自分の投資の手足をしばり付ける「現在の投資について語らない」は特に参考になります。

手足をしばられるのはSMプレイのときだけにしたいものです(聞いてない)。

ビジネスだけでなく投資にも役立つダンドーフレームワーク

9つのフレームワークからなるダンドーフレームワーク。この9つの中でも、

  • 競争上の優位性を保てるビジネスを購入する
  • 潜在的な本質的価値よりも大幅に割り引かれた価格でビジネスを購入する

この2つは、パブライが感銘を受けたバフェット・グレアムの哲学がベースです。

これを見れば、パブライがビジネス・投資活動でバフェット・グレアムの影響を多大に受けていることがよくわかります。

そしてダンドーフレームワークでチャンスを見つけたら、「厳選した少数に賭ける、大きく賭ける、たまに賭ける」でチャンスを最大限いかすとのことです。

マーケットではこの逆、「適当に多数に賭ける、小さく賭ける、しょっちゅう賭ける」が、よくある日常の光景になっています。

表紙のうさん臭さで損しているけど見た目以上にまともな本

表紙にインドがうんぬんと書かれていて、見た目のうさん臭さが満ちあふれている本書。

中身は期待をいい意味で?裏切るまともな投資本です。ただ事例が若干古いせいで、微妙な残念感がただようのが残念なところ。

見た目とは裏腹なまともな投資本として、そしてバフェットとのランチ権に65万ドルを出す人物とは、いったいどのような人なのかを知るにはよい本です。

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